酒精強化ワイン

ここでは酒精強化ワインを紹介していく。フォーティファイドワインとも言う。

酒精強化ワインといってもわからい人が多いだろうが、
“シェリー、ポート、マデイラ”などのワインといえば少しは馴染みがあるのではないか?
ここではこの3つ。またの名を”世界三大酒精強化ワイン”を紹介していく。

シェリーは名探偵コナンを知っている人ならば一度は聞いたことがあるだろう。
ポートは赤玉ポートワインを知っている人であれば聞いたことがあるだろう。(ちなみにポートワインではない。)
マデイラはフランス料理のソースで時々出てくるので知っている人もいるだろう。

私は酒の中でマデイラワインが一番好きである。シェリーやポートではなく、マデイラが好きである。
私の思いは下の項のひとこと部分に改めて書くとする。

分類

シェリー

他の酒精強化ワインとの違いは
ソレラシステムだったり産膜酵母だったりが活躍する場合がある点や
主に発酵後にアルコール添加をする点にある。

ブドウの種類だったり、産膜酵母の活躍の有無だったり、
添加アルコールの量だったりによって主にこれらに分かれる。
もちろん他にもあるがよく聞くのはここらへんでないかと推測する。

  • フィノ
  • マンサニーリャ(マンサニージャ)
  • アモンティリャード
  • オロロソ
  • ペドロ・ヒメネス(PX)
  • モスカテル

ポート

他の酒精強化ワインとの違いは
赤ブドウがメインであること、発酵途中にアルコール添加することにある。

主に、どのブドウを使うか、酸化させるか否か、樽に入れるか否か、どのくらい熟成させるかで分かれる。

  • ルビー・ポート
  • トゥニー・ポート
  • ヴィンテージ・ポート
  • レイト・ボトルド・ヴィンテージ
  • クラステッド・ポート
  • ホワイト・ポート
  • ロゼ・ポート

マデイラ

他の酒精強化ワインとの違いは
アルコール添加が発酵途中か発酵後かは様々である点、加熱熟成させる点にある。

主に、どのブドウを使用するか、どのくらいの発酵でアルコール添加するか、加熱方式はどうするか、どのくらい熟成させるかで分類される。

  • ドゥセ(スイート、甘口)
  • メイオドゥセ(ミディアムスイート、中甘口)
  • メイオセコ(ミディアムドライ、中辛口)
  • セコ(ドライ、辛口)
  • フラスケイラ / ガラフェイラ
  • コリェイタ
  • レゼルヴァ

製造方法(簡易的)

ワインの作り方を知っていれば意外と簡単である。

  • 一般的なワインを作る
  • 発酵途中または発酵後にグレープスピリッツを添加する
  • 熟成

以上でほぼ説明が終わってしまう。

製造方法(詳細)

シェリー

よく出る用語

  • フロール:産膜酵母が生産する膜のようなもの。酸化を抑え、独特の風味を与える。シェリー製造においては​アルコール15%程度で生産される。タンニンがあると生産されにくいため、古樽が適している。
  • ソレラシステム:複数の樽を階層状に配置し、最下段(ソレラ)を瓶詰めするたびに、上段から少しずつ補充する熟成方法。安定した品質と複雑な風味が生まれるとされる。いわば継ぎ足しである。すべては基本的にソレラシステムを利用する。
  • 酸化熟成:フロールを作らずに熟成させる方法。

フィノ

発酵後の液体にグレープスピリッツを添加し、アルコール度数を15%程度に調整。その後、樽内でフロールが生産され、生物学的な熟成が行われる。

マンサニーリャ(マンサニージャ)

​製法的にはフィノと同じ。サンルーカル・デ・バラメダで生産される。この地域特有の気候により、フロールが一年中安定して存在し、特有の風味が生まれる。​

アモンティリャード

フィノとして生物学的熟成を行った後、フロールが消失したもの。または再び酒精強化して消失させたもの。二段階の熟成により、複雑な風味が生まれる。​

オロロソ

発酵後の液体にグレープスピリッツを添加し、アルコール度数を18%程度に調整。それによりフロールを形成させずに酸化熟成を行う。長期間の熟成により、濃厚で深みのある風味が特徴。​

ペドロ・ヒメネス(PX)

ペドロ・ヒメネス種のブドウを天日干しして糖度を高め、発酵途中にグレープスピリッツを添加し、酒精強化の後、酸化熟成。​

モスカテル

モスカテル種のブドウを使用したもので、製造方法はペドロ・ヒメネス(PX)と同様である。

ポート

ルビー・ポート

黒ブドウを使用し、発酵途中でグレープスピリッツを添加して発酵を停止させる。​その後、大樽で4~5年熟成させたものを中心に調合したもの。ルビー色。

トゥニー・ポート

ルビー・ポートよりも樽熟成期間が長い。トゥニー色(黄褐色)。

ヴィンテージ・ポート

​特に優れた年の単一醸造年度のポートワイン。2~3年の樽熟成を経て瓶詰めされ、長期の瓶内熟成を行う。

レイト・ボトルド・ヴィンテージ

ブドウがヴィンテージ・ポートの基準に一歩届かなかったもので、5年以上樽熟成をしたのち瓶内熟成を行う。

クラステッド・ポート

若いワインに古酒を配合したもの。瓶詰め後に澱が生じている。

ホワイト・ポート

白ワインベースで造ったポートワイン

ロゼ・ポート

ロゼワインベースで造ったポートワイン

マデイラ

主に白ブドウを使用するが、甘辛のジャンルによって使うブドウが決まっている。例外もあるが4種のみといっていい。一方で赤ブドウのティンタネグラはオールマイティに活躍する。

白ブドウは主にカンテイロといわれる熟成法​を取る。ワインを樽に入れ、屋根裏や日光が当たる場所で自然の温度変化を利用して長期間熟成させる。

赤ブドウは主にエストゥファといわれる熟成法​を取る。​ワインをタンクに入れ、人工的に加熱処理を行う。ワインを45〜50℃に加熱し、それを数ヶ月間維持したのちに樽に入れて追熟する。

ドゥセ(スイート、甘口)

​白ブドウのマルヴァジア(マルムジー)種を使用し、早い発酵段階でグレープスピリッツを添加し、多くの糖分を残して、甘口のワインにする。

メイオドゥセ(ミディアムスイート、中甘口)

白ブドウのボアル(ブアル)種を使用し、発酵を中程度でグレープスピリッツを添加し、適度な甘さを持たせます。

メイオセコ(ミディアムドライ、中辛口)

白ブドウのヴェルデーリョ種を使用し、発酵をやや進めた段階でグレープスピリッツを添加し、軽い甘さを残す。

セコ(ドライ、辛口)

白ブドウのセルシアル種を使用し、発酵を完全に進めて糖分をほとんど残さない状態でグレープスピリッツを添加し、さわやかな酸味を持つものになる。

フラスケイラ / ガラフェイラ

単一品種、単一収穫年のマデイラ。最低20年の樽熟成、2年の瓶熟成が必要で、表示されている品種が100%であることが条件である。

コリェイタ

単一収穫年のマデイラ。品種による表示の規定は無し。樽熟成5年以上が条件。

レゼルヴァ

熟成期間の区分け
15年→エクストラ・レゼルヴァ
10年→スペシャル・レゼルヴァorオールド・レゼルヴァ
5年→レゼルヴァ

ここには一般的なワインの菌は記載しない。

産膜酵母:Saccharomyces bayanus, Saccharomyces oviformis

ひとこと(ひとこと?)

私は酒の中でマデイラワインが一番好きである。”ワインの中で”でなく、”酒の中で”である。
どのタイプが好きかと言われたら甘口が好きである。我が家にはマルヴァジアの10年とティンタネグラの10年がほぼ常備してある。
ストレートも良いし、炭酸割りも好き。水割りもお勧めする。飲み方はかなり自由な酒なのがマデイラであると考える。


個人的に好きなのは20倍希釈水割り。500mLのペットボトルの水を買ってきて、少し飲み、そこに25mLくらいマデイラを添加する。甘口ならではなのかもしれないが、優しい甘みと酸味、カラメルのような香りと重めなドライフルーツのような香りを楽しめる。

皆さんにも是非に飲んでもらいたい。個人で購入するのもいいが、クラブマデイラというマデイラワインの普及に力を入れている会の会員店舗足を運ぶのも良いだろう。未だ店舗数は少ないものの、マデイラワインを試したい!飲んでみたい!という場合には、飲み比べセットとかもやっている店もあるからお勧めする。

個人で購入する場合には、主要白ブドウ4種のミニボトルで5年セットや10年セットがあるからそれが試しやすいであろう。
他にもサントリーが取り扱っているジャスティーノ(ジュスティーノ)のティンタネグラの10年は入手しやすく、値段も比較的安めであるからこれもお勧めである。これを私はほぼ常備している。

飲もうぜマデイラワイン!

文献

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